4次関数のグラフに引ける接線の本数 佐久間 佐久間です.今回は高校数学の箱庭からちょっとだけはみ出すような問題を考えました.3次関数のグラフに引ける接線の本数は高校数学や大学入試でよく問われます.しかし,4次関数のグラフに引ける接線の本数はほとんど問われることはありません.その理由は「接線の本数=接点の個数」が成り立たず,途端に難しくなるからでしょう.今回はそれに挑んでみましょう. 一般の4次関数
n次元正単体の体積 佐久間 \(\mathbb{R}^n\)内のアフィン独立な\(n+1\)個の点の凸包\(S\)(\(n\)次元図形)を\(n\)-単体(\(n\)-simplex)または単に単体(simplex)と言う.\(n+1\)個の点を\(p_0,p_1,\ldots,p_n\)とすると,\(S\)は次のように表せる: \[S=\left\{t_0 p_0+\cdots +t_n p_n
凸関数の反復合成が再び凸関数となる条件 佐久間 問題 連続な凸関数\(f\)と狭義単調増加で連続な凸関数\(g\)の組であって,合成\(f\circ g\)が凸関数にならない例を挙げよ. \(I,J,K\)を有界閉区間とする.凸関数\(g:I\to J\)と広義単調増加な凸関数\(f:J\to K\)の合成\(f\circ g\)が凸関数となることを示せ. \(I=[a,b]\)を有界閉区間とし,
単調でない関数による置換積分 佐久間 佐久間です.今回は「ルベーグ=スティルチェス積分の置換積分」に引き続き,置換積分の公式を扱っていきたいと思います.前回見た,\(f,g\)に関するかなり弱い仮定の下で成立する置換積分の式 \[\int_a^b f(g(t))g'(t)dt=\int_{g(a)}^{g(b)}f(x)dx\] について,「\(g\)が単調でないときはこの公式は使えない」
ルベーグ=スティルチェス積分の置換積分 佐久間 この記事では,よく見かける置換積分の公式 \[\int_a^b f(g(t))g'(t)dt=\int_{g(a)}^{g(b)}f(x)dx.\] が\(f,g\)に関するどのような仮定の下で成立するかについて,リーマン積分だけでなく,ルベーグ積分やルベーグ=スティルチェス積分の場合も含めて考察します. 1 リーマン積分の場合 Theore
ジョルダン標準形の簡便な求め方と変換行列 佐久間 正樹 本記事では,ジョルダン標準形を具体的に求める方法の一般論について述べる.とくに,変換行列(generalized modal matrix)の性質を用いたジョルダン標準形における特定の大きさのジョルダン細胞の個数を求める公式の証明と,行列のサイズが小さい場合に最小多項式を利用して効率的にジョルダン標準形を決定する方法を考察する. ここで扱うの
区分求積法の漸近挙動 佐久間 正樹 \(f \in C^1([0,1])\) のとき, \[\lim_{n\to\infty} n\left( \int_0^1 f(x)\,dx – \frac{1}{n}\sum_{k=1}^n f\!\left(\frac{k}{n}\right) \right) = -\frac{f(1)-f(0)}{2}\] を示せ. \(f \in C^2(
本記事では、M/M/c/cモデルとM/M/cモデル、そしてアーラン分布について紹介します。M/M/c/cモデルにはアーランB公式、M/M/cモデルにはアーランC公式という有名な公式が存在します。アーラン分布はこれらの証明に直接使われるわけではありませんが、指数分布に従う複数の独立な確率変数の和として自然に現れるため、M/M/cモデルのように、複数のサービスステージを経るような待ち行列システムにおい
\(T_1,\ldots,T_n\)が独立で,それぞれパラメータ\(\lambda_1,\ldots,\lambda_n\)の指数分布に従うとする.このとき,\(\min\{T_1,\ldots,T_n\}\)の分布を求めよ.また,\(1\leq k\leq n\)に対し, \[P(\min\{T_1,\ldots,T_n\}=T_k)\] を求めよ. \(n\)個の装置\(A_1,\ldots,
今回は指数分布とポアソン分布、ポアソン過程の関係についてまとめます。 「M/M/1行列モデルの公式の導出」で証明を省略した命題の証明についても考えます。 1 ポアソン分布 まずポアソン分布の定義を確認しましょう。 母数\(\lambda>0\)のポアソン分布\(\mathrm{Po}(\lambda)\)は、確率質量関数が \[P(X=k)=\frac{\lambda^k}{k!}e^{-\
演習: 三項間漸化式とベルヌーイランダムウォーク 仁謹(Jyn kin) ランダムウォークに関する以前の記事(https://math-quest.jp/feature/911b6c6d-6a8c-ef0d-a7a4-aaa9c1f0bb40/)で、ランダムウォークの再帰性について確かめるにあたり \[\sum_{n = 0}^{\infty}t^{\frac{1}{2}}P_n(0, 0)\]
\(n\)次元ベクトル空間上で、各成分が\(0\)または\(1\)をとるベクトルの集合を\(\mathcal{X}_n\)とおく: \[\mathcal{X}_n\coloneqq\left\{(x_1,x_2,\ldots,x_n)^\mathrm{T}\mid x_1,x_2,\ldots,x_n\in\{0,1\}\right\}\subset \mathbb{R}^n.\] ここで、\(n