2026.06.15
特集記事

4次関数のグラフに引ける接線の本数

4次関数のグラフに引ける接線の本数

佐久間

佐久間です.今回は高校数学の箱庭からちょっとだけはみ出すような問題を考えました.3次関数のグラフに引ける接線の本数は高校数学や大学入試でよく問われます.しかし,4次関数のグラフに引ける接線の本数はほとんど問われることはありません.その理由は「接線の本数=接点の個数」が成り立たず,途端に難しくなるからでしょう.今回はそれに挑んでみましょう.

一般の4次関数について,\(x^3\)の係数は\(x\)軸方向,定数項は\(y\)軸方向の平行移動で消すことができます.また,変曲点が2つ出てくる場合が最も「4次関数っぽい」ので,そのような場合を考えます.

問題

4次関数\(f(x)=x^4-a_2 x^2+a_1 x\) (\(a_2>0\))のグラフ\(G\subset\mathbb{R}^2\)を考える.

  1. \((p,q)\)から\(G\)に4本の接線が引けるような\((p,q)\)全体からなる集合の連結成分の個数を求めよ.
  2. \((p,q)\)から\(G\)に3本の接線が引けるような\((p,q)\)全体からなる集合の連結成分の個数を求めよ.

解答

  1. \((t,f(t))\)における\(G\)の接線が\((p,q)\)を通るとすると, \[q=f'(t)(p-t)+f(t)\] すなわち \[q=-3t^4+4pt^3+a_2 t^2-2a_2 pt+a_1 p.\] この右辺を\(g(t)=g_{p}(t)\)とおく.\((p,q)\)から\(G\)に4本の接線が引けるということは,方程式\(g_p(x)=q\)が相異なる4つの解をもち,かつ,\(g_p(x)=q\)のどの解\(x=t\)における接線も二重接線にならないことと同値である.さらに,\(g_p(x)=q\)のどの解における接線も二重接線にならないことは,\((p,q)\)\(G\)の唯一の二重接線\(\ell\)上に存在しないことと同値である. \[f(x)=\left(x-\sqrt{\frac{a_2}{2}}\right)^2 \left(x+\sqrt{\frac{a_2}{2}}\right)^2+a_1 x-\frac{a^2}{4}\] と変形できるから,\(\ell\)の式は \[y=a_1 x-\frac{a^2}{4}\] である. \[g_p'(x)=-2(x-p)(6x^2-a_2)\] だから,\(g_p'(x)=0\)とすると,\(x=p,\pm\sqrt{a_2 /6}\). \(x<\min\{p,-\sqrt{a_2 /6}\}\)\(g_p(x)\)は単調増加であり,\(x=p,\pm\sqrt{a_2 /6}\)を跨ぐたびに増減が逆転する.\(x=\pm\sqrt{a_2 /6}\)\(G\)の変曲点に一致する. \[g_p(p)=p^4-a_2 p^2+a_1 p=f(p),\] \[g_p(\pm\sqrt{a_2 /6})=\mp\frac{2}{3} \sqrt{\frac{2}{3}} a_2^{3/2}p + a_1 p +\frac{a_2^2}{12}=f'(\pm\sqrt{a_2 /6})(p-(\pm\sqrt{a_2 /6}))+f(\pm\sqrt{a_2 /6})\] である.これを用いて,\(y=g_p(t)\)\(y=q\)の交点\(t\)の個数を考える.
    1. \(p<-\sqrt{3a_2 /2}\)のとき,\(g_p(-\sqrt{a_2 /6})<g_p(\sqrt{a_2 /6})<g_p(p)=f(p)\). よって,\(g_p(t)=q\)の解がちょうど4個になる条件は\(g_p(-\sqrt{a_2 /6})<q<g_p(\sqrt{a_2 /6})\).
    2. \(-\sqrt{3a_2 /2}\leq p< -\sqrt{a_2 /6}\)のとき,\(g_p(-\sqrt{a_2 /6})<g_p(p)=f(p)\leq g_p(\sqrt{a_2 /6})\). よって,\(g_p(t)=q\)の解がちょうど4個になる条件は\(g_p(-\sqrt{a_2 /6})<q<f(p)\).
    3. \(-\sqrt{a_2 /6}\leq p<0\)のとき,\(g_p(p)=f(p)\leq g_p(-\sqrt{a_2 /6})< g_p(\sqrt{a_2 /6})\). よって,\(g_p(t)=q\)の解がちょうど4個になる条件は\(f(p)<q<g_p(-\sqrt{a_2 /6})\).
    4. \(0\leq p<\sqrt{a_2 /6}\)のとき,\(g_p(p)=f(p)< g_p(\sqrt{a_2 /6})\leq g_p(-\sqrt{a_2 /6})\). よって,\(g_p(t)=q\)の解がちょうど4個になる条件は\(f(p)<q<g_p(\sqrt{a_2 /6})\).
    5. \(\sqrt{a_2 /6}\leq p < \sqrt{3a_2 /2}\)のとき,\(g_p(\sqrt{a_2 /6})\leq g_p(p)=f(p)< g_p(-\sqrt{a_2 /6})\). よって,\(g_p(t)=q\)の解がちょうど4個になる条件は\(g_p(\sqrt{a_2 /6})<q<f(p)\).
    6. \(p\geq \sqrt{3a_2 /2}\)のとき,\(g_p(\sqrt{a_2 /6})<g_p(-\sqrt{a_2 /6})\leq g_p(p)=f(p)\). よって,\(g_p(t)=q\)の解がちょうど4個になる条件は\(g_p(\sqrt{a_2 /6})<q<g_p(-\sqrt{a_2 /6})\).

    以上より,\(g_p(t)=q\)の解\(t\)がちょうど4個になる\((p,q)\)全体のなす集合の連結成分は \[D_1\coloneqq \left\{ (p,q) \middle| p< -\sqrt{a_2 /6},\; g_p(-\sqrt{a_2 /6})<q<\min\{g_p(\sqrt{a_2 /6}),f(p)\}\right\},\] \[D_2\coloneqq \left\{ (p,q) \middle| -\sqrt{a_2 /6}<p< \sqrt{a_2 /6},\; f(p)<q<\min\{g_p(\sqrt{a_2 /6}), g_p(-\sqrt{a_2 /6})\}\right\},\] \[D_3\coloneqq \left\{ (p,q) \middle| p> \sqrt{a_2 /6},\; g_p(\sqrt{a_2 /6})<q<\min\{g_p(-\sqrt{a_2 /6}),f(p)\}\right\}\] の3つである.このうち,\(D_1,D_3\)\(\ell\)で分割される.それぞれの\(\ell\)より上側の部分は\(\ell\)\(G\)の接点を境に2つの領域に分割されるから,\(\ell\)より下側と合わせて結局3つに分割される.よって,\(G\)に引ける接線がちょうど4本あるような点のなす集合の連結成分は\(1+3+3=7\)個である.有界な連結成分は3つである.

  2. 方程式\(g_p(t)=q\)の解\(t\)がちょうど3つ存在するための条件は,前述の(a)~(f)の境界部分である.ただし,\(g_p(\mp\sqrt{a_2 /6})<g_p(\pm\sqrt{a_2 /6})=f(p)=q\)のときと\(g_p(\sqrt{a_2 /6})=g_p(-\sqrt{a_2 /6})=q\)のときは更に退化して2つになるので除く.二重接線\(\ell\)上以外では\(g_p(t)=q\)の解\(t\)の個数と\((p,q)\)から\(G\)に引ける接線の本数は一致する.\((p,q)\in \ell\)のときは接線の方が1つ少なくなる.よって,結局,接線がちょうど3本となる\((p,q)\)の集合は,直線\(y=g_x(\pm \sqrt{a_2 /6})\)\(\ell_{\pm}\)とおくと,
    • \(D_1\)の境界\(\partial D_1\)から\(\ell_{+}\)\(G\)の交点,\(\ell\)\(G\)の交点,\(\ell\)\(\ell_{-}\)の交点,\(\ell_{-}\)\(G\)の交点(変曲点)を取り除いたもの
    • \(D_2\)の境界\(\partial D_2\)から\(\ell_{-}\)\(G\)の交点,\(\ell_{-}\)\(\ell_{+}\)の交点,\(\ell_{+}\)\(G\)の交点を取り除いたもの
    • \(D_3\)の境界\(\partial D_3\)から\(\ell_{-}\)\(G\)の交点,\(\ell\)\(G\)の交点,\(\ell\)\(\ell_{+}\)の交点,\(\ell_{+}\)\(G\)の交点(変曲点)を取り除いたもの
    • \(\ell\)のうち,\(x<-\sqrt{a_2 /2}\)の部分,\(x=-\sqrt{a_2 /2}\)から\(\ell_{-}\)との交点までの部分(両端を除く),\(\ell_{-}\)との交点から\(x=\sqrt{a_2 /2}\)までの部分(両端を除く),\(x>\sqrt{a_2 /2}\)の部分の和集合(\(\pm\sqrt{a_2 /2}\)\(G\)との接点の\(x\)座標)

    の和集合である.これら4つは\(\mathbb{R}^2\)の開集合で隔てられるから,全体の連結成分の個数はそれぞれの連結成分の個数の和であり, \[5+3+5+4=17\] 個である.